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花鳥は,人々に最も身近な美の対象として,そして憧憬の対象として古来より愛され,様々な形で生活に彩りをそえています。特に,豊かな自然に恵まれたわが国では,四季折々に多彩な変化に富んだ花鳥の美しさが人々の心をとらえ,時代時代によってその風情が文化や芸術の中に巧みに取り入れられてきました。 江戸時代中期,奇想の画家・伊藤若冲(じゃくちゅう)は,花鳥を中心に魚貝に至るまで,30幅にも及ぶ大作「動植綵絵(どうしょくさいえ)」を描きあげました。彼独特の感性によって華麗な色彩で仕上げられたこの大作は,観るものに強烈な印象を与える作品です。またほぼ同じ時期,写生を重視した円山四条派(まるやましじょうは)の画家たちは,人々が馴染みやすい自然な描写で花鳥を描きました。そして近代に入ってからは,数多くの日本画家たちが,それまでの花鳥画の伝統を引き継ぎつつも,近代的な感覚に満ちた新しい花鳥表現を模索し,個性豊かな作品を描き表わしてきました。 さらに花鳥を意匠化した近代工芸品においては,その美しいデザインと共に洗練された高度な技術にも注目されます。 それぞれの作品を通して,花鳥の魅力をあらためて感じていただければ幸いです。 展覧会図録(PDF形式:80.3MB) |